2018/05/08

『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』を読んでSIerはAIに対抗できるのか考えてみた


はじめに

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

本書はベストセラーですし、書店でも平積みにされているので目にされた方も多いのではないでしょうか。すでに読んだ方も多いでしょう。もし、まだ読んでない方はぜひ読んでみることをオススメします。IT業界の方だけでなく、多くの方に影響する内容になっていますので。

AI とはなにか。AI の幻想。AI の限界。AI の脅威。などなど実際に AI を研究されている筆者が、数学的に、論理的にその事実を突きつけてきます。本書を読み終わった後、今後のAIの脅威に震撼すると思います。

AI とはなにか

AIとはここで改めて言うまでもなく「人工知能」のことです。

AI はあまりにも一般化されすぎた感がありますが、実は「真の意味でのAI」はまだ存在していません。

それは、本書でいう「真の意味でのAI」とは、「自分自身で自律的に思考ができるAI」になります。今のAIはこのレベルに到達しておらず、数学的にも達成するのは不可能だということです。

それはなぜかというと、AI はどこまでいってもコンピューターであり四則演算はできても、意味を理解することができないからです。

例えば、AI は文章の意味を解釈することができません。AI で論文の評価をするということも、どのような用語がどのような順番と数で登場したかを過去の論文データと突き合わせて評価するだけしかできません。

そして、AI の幻想の最たるものである「シンギュラリティ」、AI が人間を超える地点は、現在の数学では決して到達できないと本書は喝破しています。

その理由は本書に委ねますが、AI には限界があり、AI がすべての面で人間を超えることはありえないということが重要です。

 

AI の脅威

こうしてみると、AI って実は大したことはないのではないかと思ってしまいますが、それは大きな誤解です。

筆者は、「ロボットは東大に入れるか」という人工知能プロジェクトを進める中で、AI は東大には入れないものの、MARCH (明治、青山学院、立教、中央、法政) レベルの大学には合格可能圏内に入っているということです。MARCH は大学受験生の上位20%に相当する実力で、AIがライバルになったら、受験生の上位20%以外は AI に負けてしまうということです。

そして、AI に対抗するためには AI にできないことができる必要がありますが、現在の中学生の半数は中学校の教科書を読めていないという事実がそれを阻みます。これは中学生に限った話ではなく、本書のデータによれば高校生になっても読解力はあまり向上しないことを考えると、現在の大学生・社会人も中学校の教科書を正しく読めていないことになります。

現在の仕事の多くは AI に代替され人間にしかできない仕事しか残らないとすれば、自学自習ができない人間が半数を占める現状は、その半数の人々は AI に仕事を奪われてしまうということです。

以下の、筆者の未来予想図が現実のものとなってしまいます。

労働市場は深刻な人手不足に陥っているのに、巷間でには失業者や最低賃金の仕事を掛け持ちする人々が溢れている。結果、経済は AI 恐慌の嵐にさらされる−。

 

SIer と AI

SIerとよばれる顧客のシステムを受託開発する業態は、今までコンピューターによる自動化などの変遷は経てきたものの、基本的にはそのビジネス構造そのものは変わらずに、時代に合わせて変化してきました。

しかし、AI という破壊的イノベーションの前でも SIer はそのまま生き残ることはできるのでしょうか。

結論を先に言ってしまうと、答えは No であると思います。

SIer は AI に対抗できるとは現状考えるのは、今までの内容を踏まえると難しいと思います。

コンピューターにできることは、数学で発明された論理・確立・統計という計算ですが、逆に言えば論理・確立・統計という計算は全て AI に取って代わられることを意味します。

今まで、SIer が人間にしかできないこととして要件定義や設計がありましたが、この部分は人間にしかできないこととして残るかもしれません。別の可能性は後述しますが、設計以降のプログラミング・テストなどは論理の世界なので AI に取って代わられるでしょう。

インフラ面も安心はできません。現在、クラウドが急成長していますが、この分野にも AI が当然導入されインフラエンジニアの仕事も設計以外はなくなっていくでしょう。場合によっては、パターンに置き換えられて設計もなくなってしまうかもしれません。

要件定義や設計の別の可能性は、受託開発というビジネスモデルの消滅です。今後、AI が進化するにつれ、変化の速度は極限まで上がり、今までのような要件定義に何ヶ月というスピードではビジネスにならない可能性があります。そうすると、パッケージが導入されるようになり、パッケージも AI で進化していけば、SIerのビジネスモデルが消滅してしまう可能性が高いです。

部分的には残るかもしれませんが、大きな流れの中で、10年というスパンで見れば避け得ない変化だと思います。

顧客がSIerを囲っていれば大丈夫かといえば、そうそう甘くなく、SIerに依存したままの顧客はビジネス変化のスピードについていけずに市場からドロップアウトしてしまうことになるでしょう。

 

これからのSIer

これからの SIerは受託開発を進めながら、並行して AI の研究を行い極力人手のかかる作業を削減してスピードアップすることが必要でしょう。パッケージベンダーへの変化も難しいとは思いますが、今までのような掛け声で終わることなくチャレンジしていく必要があるでしょう。そうすれば、SIerとしての業態はともかく企業としては存続は可能かもしれません。

その一方で、SE やプログラマーは仕事をどんどん失っていくでしょう。1つはAIによる代替、もう1つはオフショアが今以上に進み賃金の低下と失業をまねくでしょう。SE やプログラマーは、必要な時に調達するという流れがどんどん進むと思います。

この時代の中で SE やプログラマーが生き残るには、自分自身がビジネスモデルを持つことが必要になります。AI に代替されないスキルやオウンドメディアを持ち、ここを起点にビジネスを広げていくという手法です。

この方法しか SE やプログラマーは生き残ることは難しいのではないでしょうか。

 

SES について

SES という、SIer にエンジニアを派遣するビジネスモデルがありますが、AI の普及とともに縮小していくことが予想されます。SES企業は厳しいですが、独自のビジネスモデルを構築することが急務でしょう。 

 

おわりに

本書を読み、改めて AI のすごさに圧倒されるとともに恐怖しました。

AI は歓迎されると同時に、ライバルであり、脅威であるのです。

今後、10年はインターネットが世界に普及したことよりもインパクトのある変化が起きる可能性が高いです。

そんな世界でも仕事を失わずに生きていけるよう、知恵を絞っていかなければいけないと改めて実感します。

 

 


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